弁論

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弁論とは

弁論とは、自説を言葉によって聴衆に伝え、説得を試みる活動です。

弁論大会では、まず弁士が10分程度話し、その後に15分程度の質疑応答が行われます。大会によりますが、多くの大会では聴衆が野次を飛ばすことも認められており、単なるスピーチとは違って喧々諤々とした議論の場となることもあります。「弁士が聴衆の前に立って話す」と言うと聴衆が受け身で聞いているだけに思われるかもしれませんが、実際には野次や質疑の鋭い指摘から弁士や他の聴衆の理解が更に深まったり、新たな視点が見つかったりするなど、弁士と聴衆が互いに主体的に参加をすることで弁論は成立しています。

弁論のテーマは、その時弁士本人が関心を持っている内容を自由に選んで論じることができます。どんな分野のどんな内容であっても構いません。実際にこれまでに行われた弁論を見ても、社会問題から学問的な倫理観、さらには身近で日常的なテーマにいたるまで、ありとあらゆる分野から様々なテーマが扱われてきました。

弁論の楽しさ

弁論を聞く聴衆は十人十色みんな違う個性を持っています。弁士の語ろうとしているテーマについても、はじめから同意しているかもしれないし、真逆の考えを持っているかもしれないし、あるいはテーマについて全く何も知らないかもしれません。こうした多様な聴衆を説得するというのは非常に難しいことでもありますが、同時に弁論という営みの真髄でもあります。

緻密で明快な論理構成、万人に伝わる具体例、聴衆の興味を惹く様々な工夫など、無数に試行錯誤を重ね、ときには部の仲間の知恵も借りつつ、多くの聴衆の説得を目指す、この過程は難しく手間のかかることではありますが、これこそが弁論を高めていくうえで最も重要な営みなのです。そして、この過程での苦労があるからこそ、自分の作り上げた弁論で聴衆に自説を届けることができたときの喜びもひとしおのものとなるのです。

弁論の教育効果

弁士として弁論を書くと、自論を言語化することが必要になります。日常生きていて、ふとした機会に疑問が浮かぶことはあっても、それらの疑問を深く掘り下げ、確固たる結論を出すことはほとんどありません。しかし、弁論を書く際には、そのような"なあなあ"で済まされがちな疑問に対して向き合い、結論を出さなければならないのです。それによって、普段では何となくしていた思考が、より深く明晰なものとなるでしょう。

さらに、弁論は聴衆にとっても有用です。弁論では、聴衆とは異なる背景や価値観を持つ弁士によって、様々な考えが訴えられます。聴衆は、それらを聞き、野次や質疑を考えるために、弁士の主張について深く考えることになります。実際に聞き、それについて深く考えた意見は、賛成であれ反対であれ、必ず聞いた者の脳裏に残り、その人の考えの幅はその分だけ広がるでしょう。

大会実績

弊部には弁論部として100年を超える長い歴史があり、その中で様々な弁士が優秀な弁論を行ってきました。こちらでは、昨年(2019年度)の弊部の受賞歴をご紹介します。

〇第15回東京大学五月祭記念弁論大会 張弁士(129期) 準優勝
  演題「棄権の価値」(テーマ:選挙における政治不信の意思表明)

〇第41回全国学生新人弁論大会 上田弁士(130期) 新人質問賞

〇第44回春秋杯争奪全日本学生雄弁大会 森田弁士(129期) 優勝・聴衆審査員部門最優秀賞
  演題「ハラスメントは誰がために」(テーマ:ハラスメント告発の濫用)

〇第59回花井卓蔵杯争奪全日本雄弁大会 尾和弁士(130期) 準優勝・特別賞
  演題「理想社会へ」(テーマ:政治的議論への当事者意識)

〇第39回東京大学総長杯争奪全国学生弁論大会 芳仲弁士(130期) 優勝
  演題「共感の限界」(テーマ:説得における共感と論理の利用)